子ども教育学科 地域貢献
連携協定を結ぶユネスコエコパーク綾町の森で「環境問題演習」を実施しました
2000年から綾町で実施している「環境問題演習」では、近年、個体数が減少した国の特別天然記念物ニホンカモシカの保護を考えるために、様々な立場の方々(ステークホルダー)から、それぞれの現状と課題、対策についてレクチャーを受け、現地でのフィールドワークを行った上で、教育的視点から自分たちにどのような貢献ができるかを考えていきます。
今年度は、8/29と8/30の二日間、カモシカ研究者、綾町の各部局(文化財、エコパーク、森林行政、鳥獣行政)、国有林を管理する森林管理事務所、綾町猟友会など、様々な立場の方々(ステークホルダー)から、それぞれの現状と課題、対策についてレクチャーを受けました。
三日目の8/31は、午前中に綾町川中自然公園で、シカの個体数推定のための糞粒法についてレクチャーを受けた後、綾町エコパーク推進室の河野耕三氏と河野円樹氏の指導で植生調査を行いました。植生調査では、2つのグループに分かれて、防鹿ネットの内外で出現する植物の種類を記録します。
川中自然公園での植生調査の後は、集落近くに戻り、綾町猟友会・小西俊一会長と綾町農林振興課・花岡誠氏の案内で、イノシシやシカを捕獲するために設置された箱ワナとくくりワナを見学しました。実物を見ながら、両氏より、ワナの仕組みや設置の仕方、捕獲方法などについて、実演や動画を交えて詳しく説明していただきました。
昼食後は、綾町エコパークセンターで、持ち帰った植生調査データを整理しました。ネットの内外の植物を比較してみると、内側にはイチイガシなど照葉樹林を象徴する植物が成長していますが、外側にはほとんどみられません。やはり、森林を守るためにはシカ避けネットは必要なようです。
最終日は、都城キャンパスで、3日間の学びを整理し、ニホンカモシカの保護のために自分たちが取り組めるアイディアを、グループ毎に、対話をしながらまとめます。
最後に、小学校の総合的な学習の時間(以下、総合的学習)を想定して、ニホンカモシカの保護のための探究的な授業を実施する学年と時期、内容などの具体的な授業プランを各グループで考えました。
今、学校では、探究する力や課題解決能力のような汎用的な資質・能力を、子どもたちに育成することが求められています。
今回、授業を通して学生たちは、自らがカモシカに関係する環境問題を「探究」しながら、この資質・能力を習得すると同時に、子どもたちの資質・能力を育むために必要となる「探究」の指導方法を、経験的に学ぶことができました。
子ども教育学科では、地域と連携して、地域の自然や課題を題材とした教育を通して、様々な状況にも対応できる「子どもスペシャリスト」の育成に取り組んでいます。
*この授業の様子は、8/31夕方のMRTニュースとUMKニュースで放映されました。