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環境園芸学科 地域貢献

都城盆地における3つの庭園やガーデンの地域社会的意義について関西教授が講演

 2023年2月20日(月)、「小さな親切」運動宮崎支部の定例会が開催され、講師として関西剛康教授(副学長・造園計画研究室)が講演を行いました。関西教授は、文化庁の名勝委員会(文化審議会 文化財分科会 第三専門調査会)の委員なども務める日本庭園史の研究者であり、また庭園や都市公園など100件を超える造園計画設計の実務経験を有する専門家(技術士)です。

 今回の「都城盆地の庭と園について」をテーマにした講演では、都城盆地にある「① 都城島津邸日本庭園」「② ひかりの森こども園・ふれあいビオトープガーデン③ 江夏整形外科デイサービスセンターProp・リハビリテーションガーデン」の新旧3つの庭園やガーデンについて、それぞれの魅力や特徴、地域社会的意義などについて解説しました。

① 都城島津邸日本庭園

都城島津邸日本庭園

 元都城領主であった都城島津家26代当主久寛(男爵)氏によって明治13(1880)年に作庭された近代日本庭園。平庭の庭園は、明治時代から「都城歌会」や「婦人年頭会」などに貸し出された史実があり、昔から地域社会に開かれた庭園でした。昭和48(1973)年に、昭和天皇皇后両陛下が都城島津邸に御宿泊されています。
 現在も、日本文化や伝統に触れる機会を提供し、文化の継承や地域のアイデンティティ形成にも貢献しています(現在、造園計画研究室が庭園管理の指導に携わっています。学生と共に調査研究した研究論文「都城島津邸日本庭園の植栽と利用特性に関する史的考察」が学会誌に掲載されています)。

② ひかりの森こども園ふれあいビオトープガーデン

ひかりの森こども園ふれあいビオトープガーデン

 民学連携として、こども園と造園計画研究室の学生と共に協力して計画設計して、平成22(2012)年4月にオープンした自然環境型の園庭です。水生植物や魚、カエル、トンボから、バッタやコオロギの草地昆虫などと多様な生物が生息しています。幼児らは自然に直接ふれあいながらの遊びを通じて、自然観察や生物の生態に直接触られます。そして、その自然環境を通じて身体能力や創造力、コミュニケーション能力など、様々な能力を発達させることもできます。

③ 江夏整形外科デイサービスセンターProp・リハビリテーションガーデン

江夏整形外科デイサービスセンターProp・リハビリテーションガーデン

 センターのモットーである「ココロ動けば、カラダ動く」を基本方針に、民学連携事業として、本学環境園芸学科の学生らと共に計画設計をして、令和4(2022)年9月にオープン。バリアフリーの基本設計がなされ、車椅子での移動や歩行訓練も容易です。利用者(後期高齢者)がガーデンの多様な施設を自然に利用することで、身体機能の維持や回復、精神的なストレスの解消、社会参加の促進につながる基本設計となっています。
 健康長寿社会に貢献できるように今後も民学連携は継続しています。地域社会の中で、本学学生が園芸療法や草花の植栽管理(ナチュラリスティック・ガーデン)などの実学を通じて、学習できる環境にもなっています。


3つの庭園やガーデンにおける地域社会的意義(関西教授の講演より)

 それぞれに異なる目的や効果があるものの、それぞれの年齢などに応じて、地域の人々が自然と触れ合い、リラックスや健康増進につながる環境であるといえます。そして今後、これからの時代、地域におけるこれらの庭と園の存在は、地域住民の生活や文化交流に欠かせない庭と園であり、持続可能な地域社会の形成に寄与する重要な役割について果たしていくと思います。

関西 剛康 教授 (造園計画研究室

研究分野 造園学分野【造園緑地専攻】

ゼミの卒業生らは現在、行政や高校教員、
造園コンサルタント設計事務所などで活躍しています。

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