環境園芸学科
OB教員との共同研究が国際誌に掲載されました
昆虫学専門誌に掲載された共同研究
南九州大学環境園芸学部環境園芸学科の卒業生、清水敏夫先生(千葉県立農業大学校)とその指導学生である下田響輝さん、海老原和樹さん、本学環境園芸学部の新谷喜紀先生、さらに法政大学生命科学部の大井田寛先生らとの共同研究が、昆虫学専門誌『Applied Entomology and Zoology』に掲載されました。
研究内容
重要農業害虫であるアブラムシを防除するためにその天敵昆虫であるテントウムシの1種(ナミテントウ)を使用する方法は古くから存在していましたが、飛翔能力が高くすぐに移動・分散してしまうため、本種の利用は温室などでの施設栽培のみに限られていました。
本研究は、ナミテントウの露地栽培での利用を目指して、ある処理を施して飛翔を制御して飛べなくしたナミテントウに対して、餌であるアブラムシ非存在時でも、作物上に生きたまま留まらせるための代替餌である飼料(砂糖や焼酎、乳酸菌飲料等からなる)を開発したというものです。
これによりアブラムシが増え始めても待機していたナミテントウが捕食してくれるというシステム構築の可能性が示されました。飼料の組成や圃場での処理法にはまだまだ改善の余地があると考えられますが、このような飛ばないテントウムシの露地栽培での利用方法に関して基礎を築く研究と言えるでしょう。
研究のきっかけ
この研究は、2010年の夏、千葉県立成田西陵高校の教諭であった清水先生がオープンキャンパスで高校生を引率して都城キャンパスを訪れたことがきっかけでした。当時、都城キャンパスは移転したばかりで、清水先生と新谷先生は初めて顔を合わせましたが、その場で意気投合し、この研究が始まる契機となったとされています。
参考写真
ナス圃場で開発した餌を使用し、飛翔を制御したテントウムシによる実験の様子。
(千葉県立農業大学校 清水敏夫先生 提供)
現在、千葉県では翅に処理を施して飛べなくしたテントウムシ「テントロール」が商品化されており、農業現場での実践的な活用が期待されています。