食品開発科学科 国際交流(国際貢献)
高血圧に関する研究成果が国際学術誌に掲載
国際的な医学雑誌に研究論文が掲載
南九州大学 食品開発科学科の永田さやか准教授(食品機能利用学研究室)が共著した研究論文が、国際的な医学雑誌「Hypertension Research(※)」に掲載されました。
論文タイトル:
Effect of population-based sodium reduction interventions on blood pressure: a systematic review and meta-analysis of randomized trials
※Hypertension Research:シュプリンガー・ネイチャー社が発行する国際的な高血圧専門誌。2022年のインパクトファクターは5.4で、同分野の中でも上位に位置しています。
この論文は、日本高血圧学会の研究者と共同で執筆されたもので、家庭や地域、職場、学校などの集団を対象に行う「減塩介入(塩分摂取を減らす取り組み)」の効果を、科学的に検証したものです。今回の成果は、2025年に6年ぶりの改訂が予定されている「高血圧管理・治療ガイドライン2025」への反映も見込まれており、今後の健康づくりへの貢献が期待されています。
約5,000本の研究を分析した「メタ解析」
研究では「メタ解析」と呼ばれる手法を用い、世界中の医学雑誌に掲載された約5,000本の関連論文から、信頼性の高いデータを抽出・再分析しました。その結果、代替塩の使用、減塩メニューの提供、減塩教育などの取り組みは、実施方法や期間に関係なく、高血圧の予防や血圧のコントロール、さらに脳や心臓の病気のリスク低減にも効果があることが明らかになりました。
永田准教授は、「1日あたり200本もの論文をチェックする作業はとても大変でした」と振り返りつつ、「日本人の“国民病”ともいわれる高血圧の予防に、少しでも役立てたらうれしいです」と語っています。
若い世代にも広がる「減塩」の重要性
塩分は体に必要な成分ですが、摂りすぎると健康に悪影響を及ぼします。特に高血圧は塩分の過剰摂取が主な原因のひとつとされ、国内では約4,300万人が高血圧と診断されています。
「高血圧=高齢者」というイメージを持たれがちですが、最近ではスマホやゲームの影響による運動不足、ファストフードやスナック菓子、インスタント食品の利用などにより、10代でも血圧が高めの人が増えてきていると指摘されています。
「食」と「健康」をつなぐ、学びのフィールド
食品開発の分野では、「おいしさ」だけでなく「健康」や「機能性」も重要なキーワードになっています。南九州大学では、食と健康の関係を科学的に学び、人々の暮らしに役立つアイデアを実現する力を身につけることができます。
「医療や健康に関心がある」「食品の研究に興味がある」――そんな高校生の皆さん、ぜひ南九州大学で、食と科学の奥深さを体験してみませんか?