子ども教育学科 環境園芸学科
学部連携授業「食と農業」で “子どもスペシャリスト” を目指す!
子ども教育学科では、多面的な学びを通して「子どもスペシャリスト」を目指します。
特色ある科目のひとつ「食と農業」は、子ども教育学科と環境園芸学科、フィールドセンターが連携して実現した授業です。4月のサツマイモ植え付けに続き、7月は2週にわたり、環境園芸学科の専門家によるレクチャーを受けました。
◉ 7/9:ゲストティーチャーの昆虫生態学研究室・新谷先生による「子どもと昆虫」
レクチャーでは、生物としての虫と害虫としての虫、という異なる視点から昆虫に関する理解を深めていきます。
例えば、モンシロチョウは、小学校の理科で飼育・観察する定番の昆虫ですが、農業の視点に立てばキャベツを食べる害虫です。
自然のなかでは、農薬を使わなくても、寄生蜂が幼虫に産卵することでアオムシの大発生はある程度防がれています。一方で、安定した食料を提供するためには農薬を使うことは、ある程度避けられないかもしれません。
さて、いろいろなことを考えた学生は、自分たちが栽培する畑に出て昆虫を探します。
農薬を使わない畑には様々な虫がいます。ナスの葉の裏ではニジュウヤホシテントウが産卵中。サツマイモの葉にはアオムシを狙う寄生バエや肉食性アブの姿も見つけることができました。病気に感染して息絶えたバッタの幼虫もたくさんみつかりました。
このように、害虫と自然生態系の二つの視点でみることで、「昆虫」の知識がリアルで立体的になっていきます。引き出しが増えた学生たちが考える「モンシロチョウの授業」は、子供達の興味を惹きつけるものになるでしょう。
農薬の使用は◯か✕の答があるわけではありません。状況に応じて、多面的な視点から最適な答を導き出す必要があり、その力を育むことが教育には求められています。
◉ 7/16:花卉園芸学研究室・長江先生による「身近な植物」
レクチャーでは、園芸産物としての華やかな「花」と、身近で雑草と呼ばれる「野花」という2つの視点から、人にとっての「花」に関する理解を深めます。
まず、「切り花」を中心に園芸産物という視点から花について学びます。
次に、花が人に与える効果について、長江先生のフラワーアレンジメント教室の実践例を通して理解を深めます。
最後は、子ども達が植物に興味を持つための教師の働きかけ方について考えます。
フィールドワークの課題は…..「3種類以上の野生の植物を採集してきて、自分で名前を付けよ!」。
あいにくの雨でしたが、各々が気になった植物を持ち帰り、テーブルにひろげて眺めてみます。
名前を付けるためには、植物を見なければなりません。ルーペを使い、とことん観察します。気になる特徴を見つけたら、それを名前にしてみます。
「玉ねぎの形に似ているから..」「花粉を持ち上げているように見えるから..」、独創的で面白い名前が次々と出てきます。
改めて考えると、多くの生物の名前は、その特徴から名付けられていることが多く、ワークを通して、楽しみながら、専門家と同じ体験をしていることに気づきます。
最後は、それぞれが名付けた植物について、一人ずつ名前と名付けた理由を紹介します。
このワークには「気づき」→「言語化」→「表現」という探究の要素が含まれていて、オリジナリティを発揮できる創造的な活動になっています。
植物の名前を知識として覚えさせようとしても、多くの人は興味を示さないでしょう。
もし、試験をすることで覚えさせようとしても、一過性の知識にしかならないでしょう。
学びのモチベーションは「興味を持つこと」。
子ども達が対象に興味を持つような、指導者の働きかけ方について、体験的に学び、学生達の引き出しが、また一つ増えました。
◉南九州大学・人間発達学部では、「食・緑・人」の横断的・多面的な学びを通して、SDGsの実現へ向けて、あらゆる状況の中で最適解を導き出し、行動できる人材育成のためのESD推進に取り組んでいます。