子ども教育学科
学部間連携授業「子どもの野外レクリエーション」を実施しました。
「子どもの野外レクリエーション」では、1年次必修の「子どもと自然」の内容を踏まえて、子どもの自然体験活動について、理論的背景に関する座学と野外でのワークを往還することで理解を深め、教育者としての資質・能力の向上を図ります。この授業は、環境園芸学部及び附属フィールドセンターと子ども教育学科の学部間連携により実現したもので、今年度は2/16~2/18に3日間の集中講義で実施しました。
2/16午前の授業は遠藤教授が担当し、子どもの自然体験が推進される背景と現状、課題について知るために、地球環境問題に関する世界の動向と我が国の対応、それに伴う各省庁の施策や制度、取り組み等を教育の視点から整理しました。
午後は、藤本准教授(子ども教育学科)による自分の感覚を開く授業です。大学構内で、自然を感じ、見つけ、それを言葉で表現し、受講者同士で共有するアクティビティを体験しました。学生達は普段から慣れ親しんでいる場所のはずですが、今まで存在を感じていなかった草や木、虫や鳥、地面や空、匂いや形・色、温度や空気など、さまざまな事物現象を、次々と発見することができました。受講者達は、その事に驚き、身近な自然を教育に生かすセンスとスキルを、実感を持って学ぶことができたようです。
2/17は自然を教育に活用する際のリスクマネジメントに関する授業です。初めに、フィールドセンター・松島技能員によるリスクマネジメントの考え方やポイントのレクチャー。その後、遠藤教授が担当するロープワーク入門で、クローブヒッチやボーラインノットなど結び方の基本を学びました。
午後は、環境園芸学部・岡島教授によるブランコ作り体験と松島技能職員によるツリークライミング体験です。ブランコ作りでは、岡島教授とゼミ生による指導の下、午前中に習得したロープワークを駆使しながら、安全で機能的な結び方を使ってサクラやクロガネモチにロープを結び、ブランコを完成させました。
ロープを使って高所に登るツリークライミングは、安全管理を怠れば重大な事故にもつながります。初めに、日頃より、児童向け体験会を開催している松島技能職員から、クライミングの方法や注意点だけでなく、児童へ説明するときの声の掛け方や表情など、伝え方のポイントやスキルについても解説を受けます。
その後、資格を持つ環境園芸学科の学生にサポートを受けながら、ロープを使って各々が樹上に登っていきます。自分の力だけで登った木の上からの見下ろす学生たちの表情はいつもよりも輝き、達成感や満足感を感じているようでした。子ども教育学科の学びの特徴は、体験する子どもの視点と指導する指導者の視点という、二つの視点を持つことです。このことが、学生自身の学びのメタ認知につながるのでしょう。
2/18は、遠藤教授による「地図の見方とコンパスの使い方」です。コンパスを使いながら方位を調べるだけでなく、角度を測ったり地図上の現在地から目的地へ向かう方法を求めたりしました。使い方を学んだ後、地図とコンパスを持って、方位と距離を測りながらキャンパス内を1周しました。現在はGPSが広く普及したため、紙の地図を持って山を歩くシーンは減ってしまいましたが、機器のバッテリーが切れたり、GPS衛星の電波が止まったりしても、コンパスと地図があればおおよその位置を知ることができます。
また、授業では、宮崎県が整備しているweb上の地理情報システム「ひなたGIS」を使って、小学校区にハザードマップを重ねて、校区内のハザードマップ作りを体験しました。地図や方位、方位磁針は小学校の社会科や理科で習得する内容です。また、ICTの活用は教育現場ではスタンダードになってきていて、GISは社会や理科、総合的学習に活用できる可能性があります。これらの学びは、教員となる学生たちの知識とスキルを向上させる経験になったことでしょう。
最終日の午後は、これまで学んだ知識とスキルを最大限に活用して、自然を使ったプログラムをグループ毎に考え実践をします。グループ毎に、授業を振り返り、アイディアを出し合いながら、対話的にひとつのプログラムを創造していきます。もちろんリスクの洗い出しと回避方法についても検討します。
プログラム案ができたところで、他のグループの学生を子どもに見立てプログラムを実践しました。植物の特徴や色・形をキャンパス内で探したり、ロープワークがあったりと、楽しみながらも自然への興味・関心が広がり理解が深まるプログラムに、児童役の学生たちも没頭して参加していました。実践後には各自で振り返り、内容を加えたり課題を修正したりしてプログラムを仕上げました。
「子どもの野外レクリエーション」では実体験を通して、教育に関する学びを深めることを目標としており、受講した学生たちにとって有意義な時間となりました。